久々にヤバい音楽漫画に出会ったのでご紹介。
ぜひ皆さんにも新時代の目撃者となって後世に語り継ぐ仲間になっていただこうと思います。
- アングラ系漫画が好きな人
- ヒップホップが好きな人
- アツい作品が好きな人
以下、ネタバレ注意です。
【スーパースターを唄って。】ヒップホップ漫画の新時代を刮目せよ!
作者 | 薄場圭 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | 週刊ビッグコミックスピリッツ |
連載期間 | 2023年2月〜 |
単行本巻数 | 既刊4巻(記事執筆時点) |
私が確信している面白い音楽漫画に必要な絶対条件というのがあるんですが、それは絵に「音が見えるか否か」、言い換えれば「漫画から音楽が聞こえるか否か」というものがあるのですが、今回ご紹介する「スーパースターを唄って。」は正に上記に当てはまる特異な熱量を持った音楽漫画だと思っていて、もっと言えば、新時代への扉をぶち破ることに成功したパイオニア的音楽漫画として後世に語り継ぐべき作品の一つだと捉えています。
素晴らしい音楽を聴いたときのような高揚感を味わうことができた音楽漫画はハロルド作石先生のBECK以来だと個人的には思います。
ストーリーの根幹とヒップホップというジャンルの親和性
まず、作中で流れる音楽はロックやジャズ、またはクラシックではなく、ヒップホップだということが作品にとっての一つの説得力になっている点が挙げられるのではないでしょうか。
この記事を書いている時点では絶賛連載中なので物語のオチや主人公たちの顛末、行く末は知る由もありませんが、現時点で分かっている情報から察するに、おそらく紆余曲折を経てスターダムの階段を登るサクセスストーリーかと予想できます。
映画で言えば8マイルが近いでしょうか。
主人公の雪人が所謂「底辺」と呼ばれるであろう凄まじい家庭環境の出自で、周囲には必然的にヤバい大人に囲まれたアングラ界隈で人生を歩むことを不可避として余儀なくされます。
そういった環境からの成り上がりストーリーなので、ヒップホップとの親和性が半端じゃなく合致しているし、雪人の人生を反映して乗せた生々しいまでのリリックが、雪人が存在する界隈のヘッズの心を掴んでいく過程にも自ずと必然性が生まれ、熱狂の渦が描かれたコミックを掴んでいる読者自身の手にも次第に熱が帯びはじめます。
誰かにとってスーパースターに映るアノ人も、きっと何かを抱えて生きている。アツいぜリリー…!
ユリとリリーのエピソードがめっちゃ良くて正直漫画読みながら泣いたよオジサンは。
なんだろう、本気で生きたからこそ刻むことが許された痛みというか、そういう大切だったはずのあのときの熱意をいつの間にかどこかに置いてきいることをページをめくるたびに気付かされたような、そんな気持ちになった。
絶望とか挫折とか、人生につきまとうありきたりな痛みは癒えてるんじゃなくてただ忘れていってるんだなと、自分の傷を武器にして、音楽に乗せて人生と戦う登場人物たちを見て、ふつふつと自分の中に湧き上がる得体の知れない感情に驚きと喜びを感じることができました。
気分はサイコーです。
【スーパースターを唄って。】ヒップホップ漫画の新時代を刮目せよ!の〆
なんというか、時代の転換機の目撃者になっているような、そんな高揚感を与えてくれるスゲー漫画に出会っちゃったなぁと年甲斐もなく感動しております。
この漫画を読んだおかげで、『もし、もう一度人生をやるなら音楽やりたいなぁ』なんてことを思ってしまうくらいに衝撃を喰らいました。(また人生をやり直すなんて面倒臭いから絶対嫌だけど)
熱い気持ちを激らせたい方にめっちゃオススメできる漫画『スーパースターを唄って。』をご紹介させていただきました。