今回は「ドラゴンヘッドの最終回がひどい」という賛否両論の結末についてネタバレありで解説&考察します。
個人的にはあの結末は物語の締め方としてはベストなのでは?と常々思っているので、考察を含めその理由を解説します。
この記事を読んでいただければ、きっとアナタもドラゴンヘッドの最終回をひどいと思わなくなるでしょう。(多分)
次項より核心的なネタバレ含みますので要注意です。
- サバイバル系漫画が好きな人
- ジュブナイル作品が好きな人
- 狂気じみた心理描写が好きな人
『ドラゴンヘッドの最終回がひどい』と言われる理由
まずは、ドラゴンヘッドの最終回がひどいと言われる理由について考えてみたいと思います。
あの最終回がベストだと思ってる管理人でもいくつか思い当たる節があるので順にご紹介します。
理由1:未回収の伏線&残された謎
やはり読者的にはこの理由が大きいのではないでしょうか。
作中には一見伏線のように意味有り気に描写されたけど、その後に触れられずに物語は結末を迎えてしまったので多くの謎が残ってしまい、読者的には不完全燃焼としてモヤモヤするのではないでしょうか。
(個人的には回収する必要性はないと考えていますが)
ドラゴンヘッドという漫画に対して「結局なんの話だったかよく分からない」という意見・印象を持つ読者も多いようです。
理由2:物語の続きが気になる
もう一つの理由は、シンプルに最終回・結末の先をもっと読みたかった、というもの。
この理由も、イチ読者、イチファンとして私も気持ちはよく分かります。
大好きな漫画なので、本音を言えば私も最終回のその後の物語を読みたい気持ちは正直あります。
ドラゴンヘッドはどういった最終回だったのか?
では件の最終回がどういったものだっのか、を解説しますと、主人公のテルとヒロインのアコが再会を果たし、再会を果たす手前で出会った恐怖ジャンキーの一味が他国の支援部隊への武力行為・暴動を止めに行こうとします。
そこへ襲いかかる巨大地震が引き起こす高層ビル群の倒壊と地割れ。
それらをなんとか避けながら、黒雲の裂け目から顔を覗かせる富士山の噴火。
この世は地獄の様相へと様変わりしています。
そして主人公のテルは「世界は人間の想像力次第で世の中はどのようにでも存在できる」と心の在り方について再認識し、世界の未来、自分達の未来に想いを馳せる。
そして、関東近県をはるか上空から俯瞰で見下ろし、徐々に光が東京に集中している様子を読者に見せて暗転→おわり。
所謂「おれたたエンド*1」ってやつに近い終わり方だと思いますが、私はこの結末、ひいては最終回、これでよかったと思ってます。
むしろ最適解だろ、くらいに思ってます。
では次項より、その理由について述べさせていただきます。
この終わり方がベストな理由は、続けてしまうと「物語の主軸となるテーマが変わってしまう」から
ドラゴンヘッドという漫画の主軸になっている物語の根幹は、主人公のテルが修学旅行の帰りに大災害に被災し、紆余曲折を経て家族の安否を気遣いながら実家のある東京を目指す、というものです。
物語の終盤で東京に帰還し、家族の安否を確認するという目的を果たした以上、漫画の中でテルとアコのその後、そして日本の行く末を描くということは、もはやドラゴンヘッドという漫画のテーマとは別軸なった物語が描かれてしまう、と私は考えます。
故に、彼らと巨大災害に被災した日本という国がその後どうなったかについては、エンディングのシーンで未来への希望を示唆するように若干の含みを持たせつつ、読者に想像の余地を残したあの最終回で綺麗に丸く納まったのではないでしょうか。
もしドラゴンヘッドの結末に続きがあるなら
テルとアコが仁村に別れを告げ、大地震が引き起こす建物の倒壊を潜り抜けながら、他国の支援部隊へ向けられた恐怖ジャンキーの暴力を止めに急ぎます。そして未来に想いを馳せ、暗転しておわり、というのが結末ですが、私が思うに、恐怖ジャンキー集団との接触は描かれない、と考えます。何故かと言うと、物語が終わる直前の仁村とのやり取りと同じような構図になってしまうからです。
という事はつまり、もし物語が続いていたのだとしたら、恐怖ジャンキー集団や他国の支援部隊と接触するセクションは飛ばされると私は考えます。
飛ばされたその後は最後のページで示唆される東京の復興が物語の中心になる可能性が非常に高いので、そうなると先述の通り、ドラゴンヘッドという物語の主軸、根幹にあるテーマから外れてしまうのではないでしょうか。
よって私は、ドラゴンヘッドの最終回がひどいという意見には反対し、あの結末が最善の終わり方であったと主張したいと思います!(憤怒)
ドラゴンヘッドの最終回がひどい?ネタバレありで結末を解説&考察!の〆:もしも連載が続いていたら
こんな感じで、個人的にはドラゴンヘッドの最終回がひどいとは思わない理由について解説させていただきました。
あーだこーだ書きましたが、ぶっちゃけ捉え方は人それぞれなので、「ドラゴンヘッドの最終回はひどい!」という他人の意見を否定したい意図があるわけではないので悪しからず。
もちろん私もドラゴンヘッドのファンですから、続きが読みたくない訳ではありません。
テルやアコはもちろんのこと、1人残された仁村の行く末も気になりますし、あの荒廃し文明を失いつつある世界の状況から日本という国がどのように復興を果たすのか、その顛末を見届けたい気持ちがあります。
もしかしたら本編のアフターストーリーとしていつか読める日が来るかもしれないので、ファンの一人として密かに待っていようと思います。
*1 「おれたちの戦いはこれからだ!」的な、良いところで終わる作品。